劇団子にヒトコト 【斧口智彦】

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台本遅くなってもいいんです

「台本が遅くてもいいんですよ」と劇団子 (の脚本家)に言いたい。
いや、あえて言わせていただきますが、本来台本は早いに越したことはないのです。
これは間違いない。絶対に早いほうがいい
早くて悪いことなんてほぼないです。役者としても台本が早くほしい。

  • キャストが役の理解を深められる
  • 衣装小道具など用意するものが確定するのですぐに準備できる
  • 全体の世界観がわかるのでグッズなど制作しやすい
  • 物語を把握した上での告知がしやすい
  • 予算を立てやすい
  • 早く上がった分演出面や制作関係など、他のことにリソースを使える

このように台本が早いことによるメリットは計り知れません。
これは間違いない。絶対に早いほうがいい
誰だってそう思ってます。脚本・演出の石山さんもそう言ってます。

じゃあ、どうして稽古開始前に作品が完成していないのか。
Theatre劇団子という劇団の作品は、主宰石山さんの当て書きによる作成手法をとっております。
だから、普段はもちろん当ててみた役の演じ方によっても稽古中に役柄が変わっていくこともよくあります。

どうしてそんな手法を取っているのか。
それは、石山さんと劇団員が「“いま”お客様に提供できる一番面白いもの」を常に考えながら作品づくりをしているからです。
ほぼ物語を固めて台本を完成させてから稽古に臨むことができないわけではないのでしょうし、実際石山さんは年間数本、脚本演出としても外部で作品提供もしておりました。
なにより完成台本で稽古を始めたいならば完全新作にこだわらず過去公演の「再演」を選べばいいわけですしね。
しかし、それを劇団子でやるというのは面白さを突き詰めずに固めてしまった作品になる可能性がある (と頭によぎる)のでギリギリまで各劇団員の台詞を再構築してはひねり出しております。

結論、ボク個人としては、そのやり方が良いか悪いかの是非を問うつもりはないのです。
だって、それで本当にクオリティの高い作品ができるかどうかは、いままでの30年間でお客様に受け入れられてきた作品の数々を見ればなにも異論はないでしょうよ、と。石山さんのやりかたが劇団子なのであって、こう書いてくださいと創らせるのは違うと思うのですよ。
劇団子作品は試行錯誤しながら劇団員ももがいて足掻いて創り上げる。
でないとあんな作品絶対に生まれないよ!と思い知らされてきました。
だから、(作品を届けるお客様のためならば) 台本遅くなってもいいんです

PROFILE

斧口智彦
Onoguchi Tomohiko

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